永遠の二十歳
今朝は雪の心配もなく予定通りCの家に行くつもりだったが30分ほど時間をズラす事にした。
高速降りて山手に入ると二十歳の彼女が待っている。
こんな冬の寒い日は寂しがりやの彼女はきっと退屈してるに違いない。
彼女との出会いはお互い中学になって同じクラスになったのがきっかけ…
二人とも髪を染めたり、スカート丈を長くしたり、そのたびに先生より先に女の怖い先輩に呼び出された。
彼女は勝気だったので先輩にも引かず、二人でキメていった髪もトイレの水で洗い流された事もあった。
そんなハードな学校生活だったが彼女といれば楽しくてたまらなかった。
しかし、私は進学をきめたが、彼女は進学しないと言いだし…
そこの違いから彼女との縁は薄くなった。
それから卒業して彼女を見かける事もなく私は私で楽しくやっていた。
二十歳の成人式の式典にも彼女は来ていなかった。
彼氏と同棲してるらしい…と誰かが話していた。
……それから何日かして彼女の訃報を新聞で知った…
大通りを暴走していて彼氏の運転する車が電柱にぶつかり大破…
乗車していた二人は即死と…
本当にあっけなかった…
葬儀では言葉が出なかった…
おじさん、おばさんの顔もまともに見れなかった…
あれから25年が経つ。
私も太っていいオバハンになった…
永遠の二十歳の彼女には負けるけど…
また来世で生まれ変われるなら、今度は二人で先輩に仕返ししてやろうか。
今日は綺麗な花をたくさん持って彼女の墓前に手向けてこよう…